南無煩悩大菩薩

露の世は露の世ながらさりながら

きわをわきまえる。



剣聖と呼ばれた剣の達人、伊藤一刀斎というひとは、

朝まだ闇のうちに突如目覚め、「老いた!」と一言つぶやくと、

以後、遁世、つまり行方が知れなくなったといいます。


先日、あるバーで、巷では仙人と呼ばれる傘寿を超えた酒飲の達人が、

呑んでいた杯をカウンターにコトンと置くなり、「酔うた!」と一言つぶやいた、

そして露ほどの未練も残さず、立ち去った。


区切り、見切り、引き際の良さ。

達人とはそういうものだ。


まだまだ修行は続く。